最近の悩みは「サメ映画枯渇問題」
無料“だからこそ”やる!BS12が送るまさかの番組編成、中の人に話を聞いてみた
■視聴率に表れないこそ、ネットの反応を重要視。放送日にトレンド入りも
───BS局というところもあり、地上波放送のように「視聴率」という形で、視聴者の反応が表れにくいと思いますが、どういった要素を元に番組への反応や、声を汲み取っているのかを教えてください。
菊池 放送時間帯のSNSでのリアルな反応もそうですが、弊社のホームページにも視聴者からのご意見が届いたりします。ホームページに寄せられるご意見すべてにお答えすることは叶わないのですが、いろいろな点で気付きにもなります。また、コンテンツについて詳しい方からのお声も頂けるので、それが実際に番組編成のヒントになることもあります。
先程お話したように、放送尺に合わせる為に泣く泣くエンドロールをカットしたみたいなことも稀にあったりするのですが、そういう場合には視聴者からメッセージを多くいただきますね。作品を期待して観て下さる視聴者からすればもっともなことです。そういったご意見を通じて、作品を届ける大切さや、視聴してくださる方の強い想いを改めて認識します。
大野 御社を始めとする媒体の方々が、放送リリースを元に執筆してくださった記事へのリアクションもチェックしています。御社の記事はヤフーニュースにも取り上げられることもあり、ヤフコメの書き込みも番組編成の参考にすることもあります! 熱意の籠もった書き込みや、「アレを流してくれ!」みたいな放送への要望を見ると時折「中の人」として返信したくなりますね(笑)。
サブスクリプションサービスといった配信サービスもあるなか、観ようと思えばいつでも作品にリーチできる時代なのに、「テレビで観たい」というリクエストをいただけるのは本当にありがたいことです。
■「今思うとよく通ったよ」毎年恒例サメ劇場オリジン。昨今の心配は“サメ映画枯渇問題”
───記事もチェックいただいているとのこと、誠にありがとうございます……! 身が引き締まります。近々の特集放送ですと、ファイルウェブでも取り上げさせていただきましたGWの特別企画「怪獣映画特集」や、「シン・ゴールデンサメ劇場」などがありましたが、視聴者の方々からの反応はいかがだったでしょうか?
菊池 サメもそうですが、怪獣特撮映画は普段からBS12を観てくださっている以外の層、3,40代の方もたくさん観てくれているんだなあというのを、SNSの湧き具合から感じました。「本当にやるの!?」「熱いラインナップだ……!」みたいなポジティブな反応が多くありましたし、放送当日にはTwitterのおすすめトレンド欄に作品名が入ったりもしました。
個人的にも放送日はTwitterを見ながらリアルタイム視聴をしていたのですが、展開にツッコミ合ったり、感想を言い合う光景はすごく面白かったです! このスタイルが現代の新しいテレビの見方なんだなあと感慨深くなりましたし、リアルタイムで皆様が楽しんでいる様子を目の当たりにすると、「この企画やって良かったな」と報われた気持ちにもなります。
さらに個人的なトピックになるのですが、「シン・ゴールデンサメ劇場」の初日に『サメVSマイク・タイソン』を放送した際に、このタイトルについてツッコんでくれる方々が多くて(笑)。実は本作、ドキュメンタリー作品でラインナップ的には趣向を凝らせた形となるのですが、タイトルの出オチ感がすごいですよね(笑)。
GWのサメ映画編成については2021年の『シャークネード』シリーズ6作放送と、昨年の「蘇えるゴールデン・サメ劇場」に続いて、今年の「シン・ゴールデンサメ劇場」3年目になります。3年目ともなると「今年もやってくれるんだ!」というコメントも多く、こちらとしては「覚えてくれたんだ!」と嬉しくなりました。
───言ってしまうと年々悪ノリ感が強まっている「サメ劇場」ですが、初年度の『シャークネード』シリーズ6作放送も凄いことをやっているな……という感想です。企画としてまとめる上でストップは入らなかったのでしょうか?
菊池 社内で止められることはなかったですね。最初に放送した『シャークネード』は、B級のサメ(映画)の中では、メジャー感がありまだ許されるかなというところがあったのかも(笑)。また連休中の放送企画を練るというところに立ち返ると、これを理由に「何か面白いことをやってみよう」というのがきっかけです。
あとは参考材料として「配信サービスにおけるサメ映画の回転率が良い」という話も聞いていて、『ジョーズ』みたいな名作ではなく、B級作品を束で掛けたら行けるのではないか? という雑談ベースから盛り上がり、作品調達の面でも条件をクリアできるということから「1回やってみよう」という流れになりました。
大野 実際に放送してみたら「意外にみんな観てくれるんだ」という手応えも感じました。
菊池 サメ(映画)第一弾の『シャークネード』一挙放送の時は主人公のフィン役の吹替担当の堀内賢雄さんや、3作目から登場するルーカス役の三上哲さんをお招きして、特別トーク生配信番組をYouTubeで配信したりしました。
樽谷 「サメトーーク!」(堀内賢雄と三上哲のサメトーーク!)というタイトルでしたね。
菊池 生配信と一緒に編成するという形で企画を進めていました。
大野 今思うとよく通ったよって話だよね。もしかしたら『シャークネード』という映画がどんな作品かを、最終決裁する人間が気付いていなかったのかもしれない(笑)。本当にチャレンジだったと思います。……でも、そろそろ「サメ映画枯渇問題」に直面してくるね。
菊池 ラインナップとしては、まだまだ豊富にサメ映画が控えている状態なのですが、ビビっと来るようなタイトルを選定するのが年々難しくなっているのが正直なところです。やっぱりタイトルの “ヒキ” は編成する上で重要な要素です。その点、今年放送した『サメVSマイク・タイソン』は非常にパワーがありましたね!
大野 「メジャータイトルに便乗した邦題の付いたB級作品がレンタルショップに並んでいた時代」の雰囲気がウチ(BS12)にはある、というのも自負しています。
似たような企画でいうと誰もが知る大作映画を勝手にナンバリング化したB級作品を年末年始に流してみるか! というのも雑談ベースで企画案として挙がったりもしました。
菊池 年末に地球を救う映画をひたすら流す! みたいな案は盛り上がりましたね。割りとくだらない話から企画が産まれることも多いです。
大野 B級作品の放送ラインナップの中に「ネタ元」も入れる! みたいに編成部内で和気藹々と話したりもしましたね。「本家に怒られるだろう」と御破算にはなりましたけど(笑)。
ただ、編成部内でも「サメはよく観られている」という認識も強く、その亜流企画として「アニマルパニック特集」と銘打って『アナコンダ』シリーズを放送したりしました。当社のこだわりである「分かる人には分かる」を表している選定かもしれません。
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