会場で最も話題となったアナログプレーヤー
<HIGH END>アコースティカル・システムズ、3,400万円超の超弩級レコードプレーヤー「the APOLYT」
2016年5月5日〜8日まで、ドイツ・ミュンヘンにて開催された「Munich HIGH END 2016」。世界各国からオーディオメーカーが来場し大勢の来場者が詰めかけ、大きな盛り上がりをみせた同ショウだが、今年は例年以上にアナログオーディオに対する関心が高かったように思える。
特にレコードプレーヤーの数には目を見張るものがあり、入門層向けのプレーヤーから驚愕のハイエンドモデルまで、実にバリエーションの広い展示が行われていた。
そんななか、訪れた来場者はもとより、出展社達からも大きな話題を集めた超弩級レコードプレーヤーが登場していた。地元ドイツのアナログオーディオ専業ブランド、アコースティカル・システムズの「the APOLYT」である。その値段はなんと280,000ユーロ。日本円にしてなんと3,400万円を超えるアナログプレーヤーだ。
the APOLYTを見てまず驚くのが、そのサイズだ。実際に会場内のブースで写真を撮影するのが困難なほど大きく、また、ひとつひとつのパーツをみてももはやアナログプレーヤーの枠を超えたものとなっている。その重さはなんと388kg。運ぶ時は9個の箱に分割して送るというほど、世界のアナログプレーヤーを見てもその規模はまさに「規格外」だ。
もちろん、驚くべきはその外観だけではない。全体で58kgにおよぶプラッターはデルリンやタングステン、ステンレスなどさまざまな素材をハイブリッドさせたもので、マットのような特殊素材を採用したベルトを経由してひとつあたりの質量が26kgというモーターを2つ使用して駆動させる仕組みを採る。説明をしてくれたスタッフによると、プラッターのイナーシャはマイクロ精機の銘機として名高い「SX-8000」の38倍にも及ぶそうだ。
さらに、そのプラッターは空気で浮かせるエアーフローティング機構を採用。188kgに及ぶというプラッターベースも4隅に用意されたエアーサスペンションでフローティングされ、「接地面からの振動は事実上ない」というレベルとすることを実現。徹底しているのは、トーンアームにまでエアーフローティングを採用していることで、これによりプラッターやベース、トーンアームが全てにおいて独立した構造となり、レコード盤と針先以外は存在すらしないような仮想的な状況を作り出しているとのことだ。
その一方で特徴的なのは、どこにもバキューム機構を採用していないことで、これは「バキュームはレコードに余計な振動を発生させる可能性がある」という考え方に基づくものだという。
本体の手前側にあるコントロール機構は、もはやレコードプレーヤーというレベルではなく重工業製品を思わせるほどのもの。3つのアナログ式のメーターは左からコンプレッサー、サスペンション、トーンアームという3つのエアー機構のステータスを見るもので、「DES」というスイッチでは空気圧を微調整することができる。
回転の調整は±5%の間で調整できるほか、33 1/3rpm、45rpmのほかオプションで16 2/3rpm、78rpmにも対応する。なお、本機を使用する際は、車のように鍵を差し込むことで電源がONになる仕組みとなっている。
the APOLYTは全世界で33台の生産を予定しているとのことで、納期までには5ヶ月を必要とするという。実はアコースティカル・システムズとしては、およそ20年前に同様のアナログプレーヤーを開発したことがあったようで、その際はラテンアメリカで2台、ドイツで2台、そのほかのヨーロッパ諸国で11台を販売したという実績があるそうだ。予定台数はこの実績を上回る数字となっているが、そこには現代の世界市場の動向とプロダクトに対する絶対的な自信が関係しているようだ。
これまでアコースティカル・システムズは、トーンアームAXIOMや、ヘッドシェルARCHEなど、アナログ再生におけるセッティングを極限まで追い込むことができる製群が高い評価を集め、いまやハイエンド・アナログブランドとしての地位を世界的なものとしている。そんな同社の理想をとことん突き詰め、文字通り妥協を徹底的に廃したthe APOLYTが世界で今後どのような動きを見せるのか。少なくとも会場内では世界最高峰のアナログプレーヤーとしての注目を集めていたようだ。
特にレコードプレーヤーの数には目を見張るものがあり、入門層向けのプレーヤーから驚愕のハイエンドモデルまで、実にバリエーションの広い展示が行われていた。
そんななか、訪れた来場者はもとより、出展社達からも大きな話題を集めた超弩級レコードプレーヤーが登場していた。地元ドイツのアナログオーディオ専業ブランド、アコースティカル・システムズの「the APOLYT」である。その値段はなんと280,000ユーロ。日本円にしてなんと3,400万円を超えるアナログプレーヤーだ。
the APOLYTを見てまず驚くのが、そのサイズだ。実際に会場内のブースで写真を撮影するのが困難なほど大きく、また、ひとつひとつのパーツをみてももはやアナログプレーヤーの枠を超えたものとなっている。その重さはなんと388kg。運ぶ時は9個の箱に分割して送るというほど、世界のアナログプレーヤーを見てもその規模はまさに「規格外」だ。
もちろん、驚くべきはその外観だけではない。全体で58kgにおよぶプラッターはデルリンやタングステン、ステンレスなどさまざまな素材をハイブリッドさせたもので、マットのような特殊素材を採用したベルトを経由してひとつあたりの質量が26kgというモーターを2つ使用して駆動させる仕組みを採る。説明をしてくれたスタッフによると、プラッターのイナーシャはマイクロ精機の銘機として名高い「SX-8000」の38倍にも及ぶそうだ。
さらに、そのプラッターは空気で浮かせるエアーフローティング機構を採用。188kgに及ぶというプラッターベースも4隅に用意されたエアーサスペンションでフローティングされ、「接地面からの振動は事実上ない」というレベルとすることを実現。徹底しているのは、トーンアームにまでエアーフローティングを採用していることで、これによりプラッターやベース、トーンアームが全てにおいて独立した構造となり、レコード盤と針先以外は存在すらしないような仮想的な状況を作り出しているとのことだ。
その一方で特徴的なのは、どこにもバキューム機構を採用していないことで、これは「バキュームはレコードに余計な振動を発生させる可能性がある」という考え方に基づくものだという。
本体の手前側にあるコントロール機構は、もはやレコードプレーヤーというレベルではなく重工業製品を思わせるほどのもの。3つのアナログ式のメーターは左からコンプレッサー、サスペンション、トーンアームという3つのエアー機構のステータスを見るもので、「DES」というスイッチでは空気圧を微調整することができる。
回転の調整は±5%の間で調整できるほか、33 1/3rpm、45rpmのほかオプションで16 2/3rpm、78rpmにも対応する。なお、本機を使用する際は、車のように鍵を差し込むことで電源がONになる仕組みとなっている。
the APOLYTは全世界で33台の生産を予定しているとのことで、納期までには5ヶ月を必要とするという。実はアコースティカル・システムズとしては、およそ20年前に同様のアナログプレーヤーを開発したことがあったようで、その際はラテンアメリカで2台、ドイツで2台、そのほかのヨーロッパ諸国で11台を販売したという実績があるそうだ。予定台数はこの実績を上回る数字となっているが、そこには現代の世界市場の動向とプロダクトに対する絶対的な自信が関係しているようだ。
これまでアコースティカル・システムズは、トーンアームAXIOMや、ヘッドシェルARCHEなど、アナログ再生におけるセッティングを極限まで追い込むことができる製群が高い評価を集め、いまやハイエンド・アナログブランドとしての地位を世界的なものとしている。そんな同社の理想をとことん突き詰め、文字通り妥協を徹底的に廃したthe APOLYTが世界で今後どのような動きを見せるのか。少なくとも会場内では世界最高峰のアナログプレーヤーとしての注目を集めていたようだ。