海上忍のラズパイ・オーディオ通信(36)
ラズパイより音がいい!? ASUSの「Tinker Board」のオーディオ的実力を検証する
しかもこのTinker Board、Raspberry Piと高い“互換性”を備えている。micro-BやHDMIなど端子類の位置がRaspberry Pi 2/3とほぼ同じで、拡張ポート(GPIO)のピン数と位置も揃っており、カメラなど多くのRaspberry Pi用周辺機器をそのまま装着できるのだ。Tinker Board専用のOSとそれ向けにビルドされた各種ドライバは必要だが、カメラや拡張ボードといった豊富な周辺機器を使える点は大きなメリットといえるだろう。
端子類の位置が同じということは、ケースなどRaspberry Pi用アクセサリーも流用できることになる。実際、アルミ削り出しケース「CASE 01」は、付属の電磁ノイズ対策用銅プレートを含め、そのまま使うことができる。
オンボードの3.5mmヘッドホン端子がRaspberry Piのものより細身のため若干隙間が生じてしまうが、機能的な問題はない。設計段階の話をすると、USBポート部分のアルミ板がややキツく、ミリ以下の精度で孔の位置を調整したものの(結果としてTinker Board対応を謳うことができた)、それ以外はRaspberry Pi専用設計のときと完全に同じだ。
Raspberry PiとはCPUアーキテクチャが異なるため、ソフトウェア(バイナリ)がそのまま動くということはないが、ソースコードの公開が基本という世界なだけに、早速有志により移植作業が進められている。本連載ではお馴染みの「Volumio」がすでに配布されているほか、ASUS主導で開発が進む「TinkerOS」など、LinuxベースのOSも整備されつつある。まだ安定性と選択肢の多さではRaspberry Piに及ばないが、注目すべき存在であることは確かだ。
■Raspberry Piよりオーディオ向きかも?
Tinker Boardに注目すべき理由は、SoCの性能とRaspberry Piとのサイズ互換性だけではない。より高音質を狙えるからだ。