「7NSP-Shpreme X」「Grandio SP-1」「Royal Spirit SP-1」
ゾノトーンが大胆に進化させた3種の新世代スピーカーケーブル、そのこだわりを3人の評論家が聴いた
■新世代ベストグレード「Grandio SP-1」(Text by 福田雅光)
●新導体で総合力を飛躍的に強化、一段と進化した性能を獲得した
ゾノトーンから随時ニューバージョンが誕生し、一段と進化した性能を確認することができる。この背景には古河電気工業(株)の新しい高純度無酸素銅、PCUHD導体の採用が大きく関係していると考えている。極めてニュートラルで純度が高く、解像力に優れ、ゾノトーンのハイブリッド構造技術のなかで、総合力を飛躍的に強化したのは間違いないと筆者は見ている。
その結果、低価格の6NSP-Granster2200αでも十分に広帯域で解像力が高く、ハイCPケーブルとしての実力を備えた。さらにこだわるならば、6NSP-Granster7700α(68,900円/2mペア)であればより一層納得できる。
500万円のスピーカーシステムに使っても十分な駆動力と解像度を備え、ゾノトーンの新しい主張が見えてくるような違いを感じることができるはずだ。音像の輪郭を明確に描き、コントラストが高く彫りの深い陰影表現で立体感を構成。透明度の高い音質で、中低域や低域も締まりを効かせ、低音弦楽器の音程の変化もはっきりしている。
●抜群のリアリティとコントラスト、音が崩れず高速な駆動力を発揮
では、Grandio SP-1は、どのようなパフォーマンスを魅力として聴かせるのだろうか。これは、明快、高速レスポンスで中間帯域を立ち上げ、明るく前に飛び出すように音を描く、リアリティに抜群の魅力がある。
極めてコントラストの高い音像を構成し、中低音や低音の分解力、ダンピングにも優れており、低音弦楽器やリズム楽器の表現に鈍さが発生しない。つまり、音の形が明確で崩れない高速な駆動力を備えている。
OTOTEN 2018のアクセサリー祭りの会場で比較試聴を行った際も、フォーカルの中核スピーカーをとても魅力的に鳴らしてくれた。安定したバランスで均質に表現してくれるのは、現在のオーディオ再生では当然のことである。筆者が注目しているのは、「高級スピーカーケーブルを使うことで、何をもたらしてくれるのか、具体的に示されていることが必要である」ということだ。
Grandio SP-1は高価ではあるが、こうした音のケーブルであれば欲しくなる。話しておきたいのは、高額ケーブルほど設計は難しく、魅力が価格と比例しにくいことだ。この課題を見事にクリアしているゾノトーンの開発力は無視できない。筆者は単一導体による限界や、複合導体による限界もかつては感じていたが、ゾノトーンは複合構造のメリットを改めて示すことができている。また、ロジウムメッキのオリジナル高級端子を採用していることも見逃せないだろう。
【Grandio SP-1の仕様】
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、モダーン錫メッキ高純度銅、高純度無酸素銅OFC●構造:中心にはエストラマーで覆った天然綿糸を振動対策として配置。その周囲に5種類の異種線材、異種線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の10芯導体を配置。革新的なDMHC方式●導体サイズ:3.4スケア(10芯)×2●外部ジャケット:PVCの上に2色の強靱なナイロン編組を加えた2重ジャケット●絶縁体:高純度PE●シールド:銅編組●介在:天然綿糸●外径:17.0mmφ●アンプ側端子(固定):LUGY-8.5相当Yラグ(Y/Bの端子種別変更の特注可)●スピーカー側端子(先端交換式):オリジナルバナナプラグ(LUG-Sシリーズ互換)
※標準完成品は両端シングル仕様(バイワイヤリング仕様への特注、および切り売りには非対応) ※標準完成品(2.0m)以外の長さは1.0mより0.5m間隔で特注可能
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