「7NSP-Shpreme X」「Grandio SP-1」「Royal Spirit SP-1」
ゾノトーンが大胆に進化させた3種の新世代スピーカーケーブル、そのこだわりを3人の評論家が聴いた
■異次元の描写力「Royal Spirit SP-1」(Text by 炭山アキラ)
●立体感や空気感までも克明、その一方で分析的でなく音楽的
ゾノトーンのスピーカーケーブルRoyal Spirit SP-1は、2016年の発売以来もうずいぶん長く、我がレファレンスケーブルの最も有力なひとつとして、自宅システムで活躍してもらっている。もちろん、本当に数多くのケーブルをレファレンスへ迎えているのだが、ともに過ごす時間が最も長いもののひとつではないかと思うのだ。
Royal Spirit SP-1の一番の魅力というか、「これがあるから手放せない!」というポイントは、音場の立体感であろう。とにかく気品にあふれた空間表現がどこまでも広がり、しかも茫洋としているのではなく、ホールの天井の高さや客席まで含めた空気容量の大きさまで克明に表現し、それでいて分析的にならないのがまたいい。
そんな音場空間に演奏者の音像はピシリとフォーカスを決め、それも微細な遠近感がまたくっきりと浮かび上がるのだから、本当に極上の音楽体験といってよいだろう。
●スピードや力感を保持しつつ、心の琴線に強く響く気品を持つ
音色は全体にクール系であり、個人的に「冬の青空のような」とよく表現するゾノトーンの代表的な表現とは少し違い、わずかに落ち着いた印象でもあるかと感じるのだが、この気品と音場の立体感は何物にも代え難い。
ちょっと驚かれるかもしれないが、このケーブルを私はバックロードホーンで使っている。筋金入りの馬力感や一刀両断の切れ味といった、いわゆる故・長岡鉄男氏の流儀でいえば、少し優しめで穏やかな表現の方向ではあろう。しかし、このケーブルで鳴らすとあのバックロードホーンが、持ち前のパワフルさやスピード感をしっかりと保持しながら、どこか貴族的な振る舞いを見せるようになるのだから、本当にアクセサリーというものは面白いと思う。
ゾノトーンのケーブルはその大半を我が家でも試していて、例えば近年発売された7NSP-Shupreme Xや最新のGrandio SP-1も、それぞれに強い魅力があって離れ難く思うのだが、なかでもRoyal Spirit SP-1の魅力は、我が心の琴線に強く響いている。そうでなければ長く一緒には暮らせないし、例えば音源評をする際に、わざわざ他のケーブルからこちらへ交換することもない。我がオーディオ人生を委ねる重要パーツのひとつである。
【Royal Spirit SP-1の仕様】
●導体構成:超高純度7NクラスCu、高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、高純度無酸素銅OFC●構造:中心にポリエチレンで覆った天然綿糸を振動対策で配置。その周囲に4種類の異種線材・線径の導体に絶縁体を被せた完全独立の8芯導体を配置。これをホット・コールドの2芯としたDMHC方式●導体サイズ:2.5スケア(8芯)×2●外部ジャケット:PVCの上に2色の強靱なナイロン編組を加えた2重●絶縁体:高純度ポリエチレン●シールド:銅編組●介在:天然綿糸●外径:15.0oφ●端子:厚手ロジウムメッキ・オリジナルY/B端子つき。精密で高品位なネジ止め設計。※切り売り非対応
●関連アクセサリー「LUG-Sシリーズ」
7NSP-Shupreme XとGrandio SP-1のスピーカー側バナナ端子部の交換用プラグ先端。端子の形状変更や、更新が手軽にできる。
LUGY-SRh(ロジウムメッキ・Yラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税抜)LUGB-SRh(ロジウムメッキ・バナナプラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税抜)LUGV-SRh(ロジウムメッキ・ヴィンテージプラグ、先端のみ4本組、¥5,200・税抜)ゾノトーンオリジナルのユニバーサルタイプのスピーカーケーブル端子、LUG-5.5シリーズと共通で使える先端交換用のプラグ。24K純金メッキのバージョン(各形状いずれも先端のみ4本組、¥3,900・税抜)も用意される。