【特別企画】デザインと性能を両立
スピーカーも完全ワイヤレス時代、しかも驚きの音質。KEF「LSX」の値付けは安すぎる!
もちろんデザインだけではなく、キャビネットの設計は音質を最優先に設計されている。LS50にも採用された湾曲型のフロントバッフルを引き続き採用し、高密度なキャビネット素材によって剛性を確保し、不要共振による付帯音を防止している。
■音楽を再生した瞬間、広大なサウンドステージが展開
KEF Control AppでLSXをWi-Fiネットワークに参加させる初期設定を行えば、事前準備は完了だ。KEF Stream Appを立ち上げ、まずは手持ちのスマートフォンに保存したハイレゾ楽曲から、女性ジャズボーカル、キャンディス・スプリングス『インディゴ』(44.1kHz/24bit FLAC)を再生した。
音が出た瞬間、左右のスピーカーの外側に広大なサウンドステージが展開し、その中央にピンポイントでボーカルの音像が出現する。LS50 Wirelessと同様に、驚くほど位相が整った音だ。また、LS50 Wirelessよりもふた回り以上小型のエンクロージャーにも関わらず、低域の量感がしっかりと出る。ここは予想以上の仕上がりだ。
LSXは192kHz/24bitまでの音源の再生に対応する(内部処理は96kHz/24bitまで)しており、ハイレゾの再生にも対応している。オーディオファンのマインド的にはDSD再生にも対応してくれればなお嬉しいが、このあたりはより幅広いユーザーを想定しての仕様だろう。
なお、フルワイヤレス状態の場合は48kHz/24bitまでの再生に対応(再生自体は192kHz/24bitまで可能)。左右スピーカーをLANケーブルで接続する有線接続を行うことも可能で、その場合は96kHz/24bitで再生を行うことができる。
ワイヤレス接続と有線接続を同じ音源を聴いての比較も行ったが、音質的な差は厳密に試聴してやや感じるという程度だった。したがって以後は、2本のスピーカーをワイヤレスで接続するフルワイヤレスの状態でレビューしている。
続いて、NASの音源をネットワーク再生する。人気Jazzシンガー、ホセ・ジェイムスのニューアルバム『リーン・オン・ミー』(44.1kHz/24bit)では、曲を通して力強いベースが入っており、その再現力が音楽性さえ左右する。小型のわりに低域が力強く出るLSXは、低重心で弾力のあるベースを楽々と表現し、口元のしまったボーカルが立体的に定位するのだからたまらない。これら2曲を聴いて、LSXがサイズを超える再生能力を備えていることがわかった。
■DSPを用いた高度な音質調整機能。設置場所に最適な設定が行える
操作アプリ「KEF Stream App」の仕上がりにも言及したい。ほぼ全ての操作をアプリで行う本機の場合、アプリの仕上がりが使いやすさを左右するのだが、KEF Stream Appの画面UIは直感的に操作できレスポンスも機敏だ。また、優れたデザインの専用リモコンも付属するので、ちょっとした音量調整や、家族の皆が共同で使う場合にも役立つ。唯一注文をつけるなら、音量を変えるときにKEF Control Appにリンクして、そこから変えなくてはいけないところぐらいだ。
DSPを用いた高度な音質調整機能を備えていることもLSXの特長だ。人気ポップアーティスト、チャーリー・プースの「Voicenotes」をストリーミングで聴きながら、調整機能を試してみた。