PR利便性も追求した本格派の一台
独自の“空間オーディオ”にANC強化で魅力アップ!SHUREのワイヤレスヘッドホン「AONIC 50 第2世代」レビュー
SHUREのワイヤレスヘッドホンが大幅進化!トピック多数の次世代モデルを検証
SHUREは2020年、初のノイズキャンセリング対応ワイヤレスヘッドホンとして「AONIC 50ワイヤレス・ノイズキャンセリングヘッドホン」(以下、AONIC 50)を発表した。このAONIC 50は、SHUREらしいスタジオ品質の高音質に、ワイヤレスならではの利便性や機能が加わり、その完成度から評価も高い。
このたび、そのAONIC 50が3年を経て進化。次世代モデルとして「AONIC 50ワイヤレス・ノイズキャンセリングヘッドホン(第2世代)」(以下、AONIC 50 第2世代)が登場する。
AONIC 50 第2世代に取り入れられた目玉機能は多数ある。まず目を引くのが「空間オーディオモード」の搭載だ。音楽リスニングのみならず、映像コンテンツの視聴でも活躍する。
さらに、ハイブリッド・アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)技術はノイズキャンセル効果の向上とともに、通話時の騒音低減効果もアップ。周囲の音をより把握しやすくする外音取り込み機能「MaxAware」も提供される。
初代から音響パーツを踏襲しているが、内部のチップセットには今回クアルコム社のQCC5141を採用。Bluetooth 5.2仕様へと一新したことで、サウンド面ではSnapdragon Sound対応ヘッドホンとなり、コーデックはSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACに加え、aptX Adaptive/aptX Voiceにも新たに対応した。
USB接続時には最大384kHz/32bit再生に対応。さらに、アプリではより細かな音質調整ができるハードウェアEQを実装。連続再生時間は約45時間に伸長し、2台同時に接続できるマルチポイント機能にも対応する。また、初代からケースの小型化が図られ、より持ち運びしやしくなったこともポイントだ。
今回はこの「AONIC 50 第2世代」について、製品開発を担当したエンジニア、Thomas Banks氏への取材に基づく情報を元に、その実力を検証していこう。
3つのコンテンツごとに最適化された独自の「空間オーディオモード」
まずはAONIC 50 第2世代から新搭載した、「空間オーディオモード」から紹介しよう。「ShurePlus Play」アプリから、「音楽」「シネマ」「ポッドキャスト」とそれぞれのコンテンツに最適化された3つのモードを切り替えられる。
空間オーディオモードの搭載について、Thomas Banks氏は「全体的な目標は、“素晴らしいスピーカーでの部屋内でのサウンドを再現する、広がりのある自然な音響モードを作成する” ことでした」と説明する。
「音楽」では頭内定位を和らげて部屋でスピーカーで聴いているような広がりを持たせ、「シネマ」は低域が強調され、より広がり感を感じられる仕様に。「ポッドキャスト」は声をクリアに再生するモードで、元の音源の質を大事にしながらも、自然な拡張によって楽器の定位感も明瞭になるチューニングが施されている。
さて、主にスマートフォンなどポータブルデバイスと組み合わせるワイヤレスヘッドホンで、空間オーディオ対応がどのように実現されているのだろうか?
現在、音楽や映画で楽しめる空間オーディオのフォーマットには、ドルビーアトモスや360 Reality Audioなどがあるが、AONIC 50 第2世代で体験できる「空間オーディオモード」はそれらとは異なる、SHURE独自のアルゴリズムによるものだという。
「空間オーディオモードはSHURE独自の音声技術であり、ドルビーアトモスのデコードには対応していません。私達は、バイノーラル空間化の物理モデルといくつかの音響心理学的なテクニックを組み合わせて残響を減少させ、その後、トップクラスの耳を持つ専門家とともに、各モードのコンテンツにおいて広がり・忠実度・透明性を最大限に引き出すためにアルゴリズムを細心の注意を払って調整しました」(Thomas Banks氏)
ノイズキャンセリング機能も強化!外音を取り込みつつ騒音も抑える新たな「MaxAware」も搭載
AONIC 50 第2世代のアクティブノイズキャンセリング機能について、まずは全体像を確認。機能のオン/オフはアクティブノイズキャンセリング(ANC)/なし/外音取り込みの3つから切り替えられる。ANCの強度調整は従来の3段階から、弱/標準/最大/MaxAware
の4段階へとアップデートした。これはアプリからも設定できるほか、右側のイヤーカップにあるスライダーでスムーズに切り替えられる。
ちなみに、その他の操作ボタンもタッチセンサーではなく、物理ボタンが採用されている。Thomas Banks氏は「私たちは多くのユーザーが触感のある操作を好み、タッチセンサースイッチ(バーチャルスイッチ)よりも、物理的なスイッチを選好する傾向があることを発見しました」と語っており、実際に試してみると、操作感が得られるボタンは使いやすく、とても手に馴染むことを実感する。
さて、ANC機能に話を戻すと、AONIC 50 第2世代では6基のマイクを内蔵しており、通話用の2基は初代と同様だが、ANC用の4基については一新。その結果、「最大」のノイズキャンセル設定において効果を大きく向上させている。
実際にAONIC 50 第2世代を屋外に持ち出し、電車内でテストしたみたところ、すべての帯域の騒音をバランスよく低減してくれる。また、「最大」の設定で効果を強めても、不快感がなく快適に使用できた。
次ページ「MaxAware」の効果は?音質検証では空間オーディオモードの変化もチェック