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この価格帯にしてこの完成度。AVIOT「WA-V1」はワイヤレスヘッドホンの“強力な新基準”
■どんな楽曲でも収まる「しっくりくるサウンド」。ボーカル中心の聴き心地の良さが秀逸
では、気になるサウンドを体験しての印象をお伝えしていこう。本機は高音質コーデックLDACに対応しているのでその高音質接続を用い、ロスレスのストリーミング配信を再生ソースとして試聴を実施した。
その音を一言で表すならば、「しっくりくるサウンド」という言葉を選びたい。サブベースがドカンと響くとか、カッチリ硬質で高解像な高域描写が際立つとか、そういったわかりやすいインパクトのある音ではない。音色は穏やかで帯域バランスも素直。個々の音色にもそれぞれの存在感や配置の具合にも、過剰さや邪魔さを感じさせる要素は何もない。
強いて言えば、ボーカルは主役として少しだけ特別扱いされて、やや大柄に描き出されるが、それも歌物の聴かせ方としては適正の範疇。だから大体どんな楽曲を聴いても収まりがよい。「ボーカルを中心にまとめられた聴き心地のよいサウンド」みたいなのはオーディオ評の常套句だが、安易な当てはめではなく、「これがまさにそのお手本!」という勢いで紹介したくなるような仕上がりだ。
加えて、もうひとつ言葉を選ぶなら「しっとり」としたい。本機が描き出す歌声の手触りや、音の響きには心地よい湿度感がある。例えばホセ・ジェイムズ『Bag Lady』を聴くと、ドラムスのヒップホップ的なバシッとした荒い抜け感より、歌声や上物楽器のメロウでソウルフルな雰囲気の方を際立たせてくれる印象だ。楽曲のサウンドの持ち味は生かしつつ、歌物としての魅力をより強く引き出してくれるイメージだ。
星街すいせい『ビビデバ』では、そのベースに注目。音量や音像の大きさは控えめにして配置はボーカルより後ろに下げつつ、音の弾みやキレはしっかりキープ。ベースの躍動あってこそな、この楽曲のドライブ感も存分に楽しませてくれる。歌を中心にしつつ、他の楽器や楽曲全体の聴かせどころも取りこぼさない。そこが本機の秀逸さだ。
ほか、「葬送のフリーレン」サントラ収録の壮大な楽曲『Zoltraak』では、空間表現の広さにも感心させられた。ここも密閉型ヘッドホンとしては特に優秀な部類と言える。なお、LDAC接続時とAAC接続時の音の違いは、穏やかな音調のためか、あまり目立たない。iPhoneユーザーの方もそこは気にせずとも問題はないだろう。
高価な素材や技術に頼らず、基本的な素材や技術の使いこなしを深めることで、この価格帯にしてこの完成度の音を実現。改めて何とも強力な “新基準” が打ち立てられたものだ。
WA-V1は、1万円を超えるヘッドホンに初めて手を伸ばそうという、脱エントリー層にとっての強力候補になることは間違いないだろう。ただ、そう遠くないうちにピエール中野氏コラボモデルも手に取れるため、そちらとの「どっちにしよう?」という嬉しい迷いが生まれるかもしれないが...。
(協力 : プレシードジャパン)