最新バージョン1.7も公開
“総合音楽鑑賞ソフト”Roonの「いま」と「これから」を、創業者とのやりとりから紐解く
――「これからこんなことがやりたい!」ということがあれば、ぜひ教えてください。
Vandermeer 3つのカテゴリーのプランがあります。「オーディオ」、「音楽メタデータ」、「ユーザー・エクスペリエンス」です。
「オーディオ」に関して、さまざまなメーカーとのパートナーシップをこれからも広げていきます。また、新しい技術やフォーマットについても常に検証し、利用できるものは取り入れていきます。
「音楽メタデータ」に関して、私たちの目標は、ユーザーにとって「音楽の完全なる情報源」(Complete Music Resource)となることです。現在提供している以上に多種多様なデータを扱い、ユーザーがその音楽に関するありとあらゆる情報を手に入れられるようにします。
「ユーザー・エクスペリエンス」に関して、私たちは「Roonと共に歩んだ歴史」に立ち返ることで、「次に何をすべきか」を見出しています。
初めてRoonを使うユーザーは、まず失われていたさまざまな音楽の情報に出会います。次に、Roonではライブラリを巡ることがとても簡単なので、彼ら自身忘れていた過去のお気に入りを再発見します。そして自身の音楽を再発見すると、そこから新たな音楽への欲求が生じます。
現在、私たちは多くの開発リソースをこの部分に投入しています。特に、ユーザーに最適なレコメンドを行うために機械学習を用いることについてです。この技術は、まずは「Roon Radio」に実装され、ライブラリに含まれない音源をレコメンドすることも可能になりました。Roon Radioは大きな成功を収め、ユーザーからのフィードバックはこの分野における大きな可能性を感じさせました。
回答で挙げられた三点のなかで注目すべきは、やはり「ユーザー・エクスペリエンス」だろう。「Roonを使うことで、どれだけ簡単に、さまざまな音楽にアクセスできるか」が重要だと考えれば、レコメンドの部分に多くの開発リソースを割いているというのも納得だ。
Roonのレコメンド機能に関して、Enno氏は「多くのサービスは、ユーザーの嗜好とは無関係に、例えばテイラー・スウィフトのアルバムをレコメンドしてくる。なぜなら、そのアルバムは五つ星の評価だから。Roonならそんなことはしない」と表現していた。
そして、このイベント後に行われたバージョン1.7へのアップデートにより、Roonは「Valence」という、まさにVandermeer氏がイベントで言及していたシステムを実装してさらなる進化を遂げた。