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<山本敦のAV進化論 第192回>

ソニー「Xperia 1 II」開発者に聞いた、プロも納得の贅沢機能を“凝縮”できた理由

公開日 2020/05/28 06:40 山本 敦
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ユーザーから復活を望む声も多く寄せられたのだろうか。渡邊氏に質問をぶつけてみたところ、「様々な層のユーザーからリクエストをいただいていましたが、Xperia 1の時点では、まだ設計部分で本体の厚みに影響が出ることが懸念されたことから、見送るしかありませんでした」という。

Xperia 1 IIでは開発当初から、本体の厚さサを7mm台にすることを目標に掲げていた。そこで設計部門が尽力し、基板設計を1から作り直した。その結果、内蔵スピーカーの大型化、イヤホンジャックの搭載に加えて、カメラは3D iToFセンサーの追加、そしてワイヤレス充電機能も載せてなお、Xperia 1より厚みを0.3mmも抑えた約7.9mmとしている。基板レイアウトを効率化できたことが、イヤホン端子の復活を含む高機能化と、本体の薄型化の両方を達成できたもう一つの大きな理由だ。

Bluetoothオーディオは、クアルコムの最新コーデックであるaptX AdaptiveにもXperiaとして初めて対応した。最先端技術やフォーマットにできる限り早くキャッチアップし、ユーザーに利便性を届けたかったからだという。

aptX Adaptiveは低遅延性能も魅力のひとつ。モバイルゲームをワイヤレスイヤホンで楽しむ際に、なるべく音声の伝送遅延を改善してほしいという声は開発者の耳にも届いていたそうだ。そのために高い効果が得られるコーデックとしてaptX Adaptiveに着目した。

Xperia 1 II内蔵カメラでの、動画撮影時の音声記録も改善された。内蔵マイクが拾った風切りノイズを軽減するため、AIに風切りノイズのパターンをあらかじめ学習させて、録画の際に風切り音を検知した場合、自動的に除去する「インテリジェントウィンドフィルター」が搭載されている。

Xperia 1 IIのカメラとCinematography Proの両アプリで使えるほか、動画撮影用のマイク録音の設定プロファイルを参照するものであれば、サードパティー製アプリでも効果が得られる。最近はスタジオグレードを謳ったり、バイノーラル録音が単体で楽しめるスマホも登場している。「動画の音がきれいに撮れるスマホ」は今後の競争軸にもなりそうだ。

新機能の「インテリジェントウィンドフィルター」により動画撮影時の風切りノイズを軽減する

XperiaがデジタルカメラのαやRXになる、新機能「Photography Pro」

Xperia 1 IIの進化したトリプルレンズカメラの特徴は、枚挙に暇がない。そのすべてを一度に伝えることは難しいので、今回は筆者がとても魅力的だと思った新機能「Photography Pro(フォトグラフィー プロ)」に焦点を絞り、その魅力を伝えたい。本機能は、端末発売後に予定するソフトウェアアップデートを行った後に使えるようになる予定だ。

カールツァイス製のT*(ティースター)コーティング対応レンズを搭載したメインカメラ

Photography Proは「カメラ」アプリとは独立した、 “もうひとつのカメラアプリ” としてXperia 1 IIにプリインストールされている。オレンジ色のアプリアイコンが目印だ。「カメラ」アプリを立ち上げると、画面の右下に、Photography Proに遷移するアイコンも常時表示される。新生アプリを熱烈に推す開発者の意気込みが伝わってくる。

カメラアプリからPhotography Proへの動線も確保されている

名前に「プロ」と付いているので、最初は筆者も少し身構えながらアプリを起動した。ところが触れてみると、その使いやすいユーザーインターフェースに、あっという間に手が馴染んだ。

Photography Proは21対9のシネマワイドディスプレイに最適化したユーザーインターフェースがとても直感的に操作できる

アプリの開発を担当した三森氏は「ソニーのαやRXシリーズの快適な操作性を踏襲したUIをXperiaに移植する」ことがアプリのコンセプトだったと説く。新アプリが作られた背景については、渡邊氏が次のように説明する。

「Xperiaの静止画撮影についても、プロのクリエイターやテクノロジーを重視するこだわり層に満足して使っていただける専用アプリを提供したいと考えていました。多彩な機能とインターフェースの操作性は、日ごろからデジタルカメラを使い込んでいる方々をターゲットに練り上げています。」(渡邊氏)

次ページ半押し操作もできるカメラ機能

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