<山本敦のAV進化論 第192回>
ソニー「Xperia 1 II」開発者に聞いた、プロも納得の贅沢機能を“凝縮”できた理由
右側の操作パネルには、フォーカスモードのほか、フォーカスエリア、ISOやホワイトバランス、測光モードの設定に入るアイコンが整然と並ぶ。筆者はふだんから取材にサイバーショットを持ち歩いているからすぐに馴染めたのかもしれないが、本体を両手で構えた際に、すべてのアイコンやダイヤルが親指で届く範囲に並んでいるため、デジタルカメラとはまたひと味違った「スマホ的に快適な操作性」が徐々に手に馴染んでくる実感がある。
三森氏は「ソニーのデジタルカメラとの “兄弟感” を出すため、アイコンの色やサイズ、文言などの細かな所まで突き詰めながら、トライアル&エラーを繰り返して最適な配置を探っていった」と振り返っている。
なお、Photography Proでは動画を撮ることができない。またフロントカメラによるセルフィーショットの撮影にも非対応だ。Xperia 1 IIのメインカメラであるトリプルレンズカメラを使って、純粋に“カメラ的”に楽しめるアプリを目指しているからだという。
ならば動画撮影については、もう一つのプロフェッショナル向けを想定したこだわりのアプリ「Cinematography Pro」とシームレスに往来できる動線を作れなかったのだろうか。
渡邊氏は「Cinematography Proは、ソニーのプロフェッショナルカメラの開発チームが監修にも関わる、21対9のシネスコサイズの動画を撮るためのアプリ」と説明するが、もしPhotography Proが動画対応に進化するのであれば「おそらくユーザーはαシリーズの動画モードを扱う感覚で楽しみたいはず」と述べている。
具体的なことは何も決まっていないとしたうえで、渡邊氏は、「Photography Proは提供開始後も様々な形でアップデートによる進化を遂げるアプリ」と語っている。スマホとして使いやすいことを大前提として、「今後もPhotography Proに限らず、ユーザーの声も踏まえて、必要な機能を幅広く聞いていきたい」とした。
三森氏はPhotography Proの今後の展開について「スマホでもない、デジカメでもない、まったく新しいカメラ体験に育てていきたい」と述べている。筆者も短い時間ながらPhotography Proを体験して、万人受けしそうな魅力的な機能だと感じた。この機能があるだけでXperia 1 IIが欲しくなり、選ぶ人も出てきそうだ。
Xperiaシリーズの新たなフラグシップモデルの最大の魅力は、沢山の機能をスリムでコンパクトな筐体に惜しみなく詰め込んだ「凝縮感」にあると渡邊氏が語っている。
Xperia 1 IIは、5G時代に求められるモバイルテクノロジーの最先端にある機能を惜しみなく投入しつつ、さらにXperiaシリーズが一貫してこだわり抜いてきた「クオリティ」にも徹底してこだわり抜いている。その完成された「一体感」に、ぜひ多くの方々が触れてほしいと思う。
(山本 敦)