10/25から3ヶ月連続リリース
『ゴジラ』4Kブルーレイのこだわりが本気過ぎる。高画質化や特典映像の裏側を関係者に訊く
来たる11月3日(金・祝)、2016年公開の『シン・ゴジラ』から数えて7年ぶりとなる実写国産ゴジラ最新作『ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)』が公開される。それを記念し、4Kリマスターを施したゴジラシリーズ7作品が4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)/Blu-rayで3ヶ月連続発売される。
この度4K UHD BDとして発売されるタイトルは、『ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』(10月25日発売)、『三大怪獣 地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『怪獣総進撃』(11月22日発売)、『ゴジラ対ヘドラ』『ゴジラVSビオランテ』(12月20日発売)の7作。
ゴジラシリーズともなると、メディアが刷新される都度ソフトパッケージが出ているが、4K UHDはいずれも「オリジナルネガ、初号試写の画と音」の再現を念頭に入念なレストア作業を実施。ゴジラ映像パッケージの “マスターピース” ともいえる映像に仕上がっているという。
本稿では、4Kリマスターディスクの制作に尽力した東京現像所スタッフ陣、清水俊文氏(営本部 営業部長/自称:応援担当)、小森勇人氏(営業部/コーディネート担当)、小池亮太郎氏(営本部/特典・捜索担当)、加藤良則氏(映像部/レストア班隊長)、山下純氏(映像部/グレーディング担当)、目良卓也氏(映像部/グレーディング担当)、森本桂一郎氏(映像部/整音担当)の7名にインタビューを敢行。
ディスク化の為に行われた「さらなるリマスター」や、多くの方が「これまで見たことのない」という特典映像の収録に至るまで、余すこと無く話を伺った。
───本日はよろしくお願いいたします。まず確認したいのですが、ゴジラシリーズの4K UHD化に当たってこの7作品が選ばれた理由を教えて頂けますか?
清水俊文氏(以下、清水) 日本映画専門チャンネル(以下、日映)放送用マスターとして4K化したものをパッケージングしていこう、というのが出発点です。タイミングとしては2021年『GODZILLA VS KONG』 の公開に併せて放送されたもので、前例としては同じく日映で4K放送した『キングコング対ゴジラ』もパッケージ化されていますね。
───日映での放送前にもお話しを伺わせて頂いたので、発表時には「もしかして……?」とは思っていました。製品を展開する上で、最新作の上映併せは絶好のタイミングとは思いますが、一方でこれまで製品化のお話しは無かったのでしょうか?
清水 無かったですね。今回のタイミングで初めて「パッケージ化」というお話しが出ました。ただ、以前発売させて頂いた『キングコング対ゴジラ』の4K UHDのセールスが良かったという話は聞いていましたので、遠からず出たらいいなとは思っていました。
また、東宝作品としては黒澤明監督作品の4K UHDシリーズを発売してきましたが、こちらもかなり売れ行きが良く、今回の「ゴジラシリーズ」4K UHD化の後押しになってくれたような気もします。
───以前インタビューをお願いした際は、ちょうど『モスラ対ゴジラ』の作業中とのことでした。ベースとなるマスターの制作は放送時に完了していることでよろしいでしょうか?
清水 基本完了しているのですが、あくまで「放送用のマスターとして」ですね。あの時は精一杯やり切ったつもりでいたのですが、放送用のスケジュールと予算という制約の中で戦わなければならないので、後から考えると、まだ追い込む余地があったことに気付いたという感じです。充分綺麗な仕上がりなのですが、弊社のスタッフも後から見ると「まだまだもっとやりたい」という部分がでてきた、というのが正直なところです。
加藤良則氏(以下、加藤) 上映時についた傷や劣化などで、素材となるフィルムの状態は芳しくありません。それを除去していくことで、画を綺麗にしていくのですが、悪い部分を直していくと他の部分が目立ち始めるんですね。大きな物を消していくと細かいものが目立ってきます。清水が言ったように放送に向けての納期をオーバーしての作業はできません。諦めざるを得ない部分もあった…という感じですね。
───ファンの方々からは放送の段階で大絶賛の画質でしたが、まだまだ追求の余地があったんですね。
小池亮太郎氏(以下、小池) 放送用マスターを納品する前に最終のプレビューをしてチェックを行うのですが、実際にCSでO.Aされた4K放送を弊社のテレビで録画したものをお昼休みにご飯を食べながらプレビューしてた時に画面のシミに気付いてしまう、ということもありました。
清水 あの頃は月に1本納品してましたよね?
小森勇人氏(以下、小森) そうですね。パッケージのところとは話が逸れてしまいますが、前提部分なので説明させて頂きますと、自分の役割としては納期までにどういう段取りで納品するかというのが重要でした。
もちろん会社としてはゴジラだけに専念する訳にも行かず、各々が仕事を抱えている中、限られたリソース内で納期に間に合うよう放送用のマスターを用意する必要がありましたので、スケジュール管理は大変でした…。限られた時間の中でのベストワークが放送用の4Kマスターで、さらに画質を追い込んで仕上げたのがこの度発売されるパッケージ用のマスターという認識です。
この度4K UHD BDとして発売されるタイトルは、『ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』(10月25日発売)、『三大怪獣 地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『怪獣総進撃』(11月22日発売)、『ゴジラ対ヘドラ』『ゴジラVSビオランテ』(12月20日発売)の7作。
ゴジラシリーズともなると、メディアが刷新される都度ソフトパッケージが出ているが、4K UHDはいずれも「オリジナルネガ、初号試写の画と音」の再現を念頭に入念なレストア作業を実施。ゴジラ映像パッケージの “マスターピース” ともいえる映像に仕上がっているという。
本稿では、4Kリマスターディスクの制作に尽力した東京現像所スタッフ陣、清水俊文氏(営本部 営業部長/自称:応援担当)、小森勇人氏(営業部/コーディネート担当)、小池亮太郎氏(営本部/特典・捜索担当)、加藤良則氏(映像部/レストア班隊長)、山下純氏(映像部/グレーディング担当)、目良卓也氏(映像部/グレーディング担当)、森本桂一郎氏(映像部/整音担当)の7名にインタビューを敢行。
ディスク化の為に行われた「さらなるリマスター」や、多くの方が「これまで見たことのない」という特典映像の収録に至るまで、余すこと無く話を伺った。
■様々な制約との戦いだった「放送用マスター」制作
───本日はよろしくお願いいたします。まず確認したいのですが、ゴジラシリーズの4K UHD化に当たってこの7作品が選ばれた理由を教えて頂けますか?
清水俊文氏(以下、清水) 日本映画専門チャンネル(以下、日映)放送用マスターとして4K化したものをパッケージングしていこう、というのが出発点です。タイミングとしては2021年『GODZILLA VS KONG』 の公開に併せて放送されたもので、前例としては同じく日映で4K放送した『キングコング対ゴジラ』もパッケージ化されていますね。
───日映での放送前にもお話しを伺わせて頂いたので、発表時には「もしかして……?」とは思っていました。製品を展開する上で、最新作の上映併せは絶好のタイミングとは思いますが、一方でこれまで製品化のお話しは無かったのでしょうか?
清水 無かったですね。今回のタイミングで初めて「パッケージ化」というお話しが出ました。ただ、以前発売させて頂いた『キングコング対ゴジラ』の4K UHDのセールスが良かったという話は聞いていましたので、遠からず出たらいいなとは思っていました。
また、東宝作品としては黒澤明監督作品の4K UHDシリーズを発売してきましたが、こちらもかなり売れ行きが良く、今回の「ゴジラシリーズ」4K UHD化の後押しになってくれたような気もします。
───以前インタビューをお願いした際は、ちょうど『モスラ対ゴジラ』の作業中とのことでした。ベースとなるマスターの制作は放送時に完了していることでよろしいでしょうか?
清水 基本完了しているのですが、あくまで「放送用のマスターとして」ですね。あの時は精一杯やり切ったつもりでいたのですが、放送用のスケジュールと予算という制約の中で戦わなければならないので、後から考えると、まだ追い込む余地があったことに気付いたという感じです。充分綺麗な仕上がりなのですが、弊社のスタッフも後から見ると「まだまだもっとやりたい」という部分がでてきた、というのが正直なところです。
加藤良則氏(以下、加藤) 上映時についた傷や劣化などで、素材となるフィルムの状態は芳しくありません。それを除去していくことで、画を綺麗にしていくのですが、悪い部分を直していくと他の部分が目立ち始めるんですね。大きな物を消していくと細かいものが目立ってきます。清水が言ったように放送に向けての納期をオーバーしての作業はできません。諦めざるを得ない部分もあった…という感じですね。
───ファンの方々からは放送の段階で大絶賛の画質でしたが、まだまだ追求の余地があったんですね。
小池亮太郎氏(以下、小池) 放送用マスターを納品する前に最終のプレビューをしてチェックを行うのですが、実際にCSでO.Aされた4K放送を弊社のテレビで録画したものをお昼休みにご飯を食べながらプレビューしてた時に画面のシミに気付いてしまう、ということもありました。
清水 あの頃は月に1本納品してましたよね?
小森勇人氏(以下、小森) そうですね。パッケージのところとは話が逸れてしまいますが、前提部分なので説明させて頂きますと、自分の役割としては納期までにどういう段取りで納品するかというのが重要でした。
もちろん会社としてはゴジラだけに専念する訳にも行かず、各々が仕事を抱えている中、限られたリソース内で納期に間に合うよう放送用のマスターを用意する必要がありましたので、スケジュール管理は大変でした…。限られた時間の中でのベストワークが放送用の4Kマスターで、さらに画質を追い込んで仕上げたのがこの度発売されるパッケージ用のマスターという認識です。